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技術コラム TECHNICAL COLUMN

アルミの切削加工におけるよくあるトラブルとは?その対策方法もご紹介!

  • アルミニウム

アルミの切削加工は、軽量かつ加工しやすいというメリットから、多くの産業で広く用いられています。しかし、その一方で特有のトラブルも発生しやすく、加工精度や生産効率に影響を及ぼすことがあります。この記事では、アルミの切削加工でよく直面する代表的なトラブルと、それらを未然に防ぐための具体的な対策方法について詳しく解説します。これからアルミ加工を始められる方や、現在の加工で課題を抱えている方は、ぜひ参考にしてください。

アルミ切削加工の基礎知識とアルミ合金の種類

アルミは、鉄や銅と比較してやわらかく、加工しやすいという特性を持っています。しかし、純粋なアルミは強度が低いため、一般的に切削加工で用いられるのはアルミ合金です。アルミ合金には、A2017(ジュラルミン)やA5052、A6061、A7075(超々ジュラルミン)などがあり、それぞれ強度や耐食性、切削性が異なります。これらの特性を理解し、加工内容に最適な合金を選ぶことが、後のトラブルを防ぐ第一歩となります。

アルミ切削加工でよくある3つのトラブル

アルミの切削加工では、主に以下の3つのトラブルが発生しやすいです。それぞれの原因と具体的な状況を把握しておきましょう。

1. バリの発生

切削加工では、ワークの端部にバリと呼ばれる小さな突起が発生することがよくあります。アルミは粘り気が強く、やわらかい特性を持つため、特にバリが発生しやすい材料です。バリは、ワークの品質を低下させるだけでなく、後工程での組立不良の原因にもなります。切削速度が遅すぎたり、切れ味が悪くなった工具を使用したりすると、バリの発生はさらに顕著になります。

2. 切りくずの噛み込み

アルミを切削する際、生成された切りくずが工具やワークに絡みつくことがあります。これを切りくずの噛み込みと呼びます。アルミの切りくずは、つながりやすい性質があるため、特に深穴加工やポケット加工などで問題となりやすいです。切りくずが噛み込むと、工具の破損やワークへの傷、加工精度の低下を引き起こす原因となります。

3. 工具への溶着

切削熱によってアルミが溶け、工具の刃先に付着してしまう現象を溶着と呼びます。アルミは熱伝導率が高く、切削時の摩擦熱が工具に伝わりやすいため、溶着が起こりやすいです。溶着が発生すると、工具の切れ味が急激に低下し、加工面の仕上がりが悪くなるだけでなく、工具の寿命を縮めることにもつながります。

トラブルを未然に防ぐための対策方法

これらのトラブルを防ぐためには、加工条件や工具の選定に注意を払うことが重要です。以下の対策を実践することで、安定した加工を実現できます。

1. バリ対策:工具の選定と加工条件の見直し

バリの発生を抑えるには、シャープな切れ味を持つ工具を選ぶことが基本です。特に、コーティングされた超硬工具はバリの発生を低減する効果が期待できます。また、加工条件としては、切削速度を適切に設定し、送り量を最適化することが重要です。切削速度が速すぎると熱が発生しやすくなり、遅すぎると工具が材料を押しつぶす形になりバリが発生しやすくなります。

2. 切りくず対策:クーラントと加工プログラムの工夫

切りくずの噛み込みを防ぐには、**クーラント(切削油)**を適切に使用することが非常に有効です。クーラントは、冷却効果だけでなく、切りくずを排出する潤滑効果も持っています。また、加工プログラムで切りくずが細かく分断されるように、ツールパスを工夫することも効果的です。たとえば、切削を一時的に中断して切りくずを排出する「ブレークチップ」機能を活用するなど、細かく切りくずを排出する工夫が求められます。

3. 溶着対策:クーラントと専用工具の活用

溶着を防ぐには、切削熱を効果的に冷やすためのクーラントが不可欠です。水溶性のクーラントは、高い冷却効果で溶着を防ぐのに役立ちます。また、アルミ専用に設計されたコーティング工具も有効です。DLC(ダイヤモンドライクカーボン)やTiAlN(窒化チタンアルミ)などのコーティングは、工具とアルミの摩擦を減らし、溶着を防止する効果があります。

まとめ:適切な対策で高品質なアルミ加工を実現

アルミの切削加工におけるトラブルは、バリ、切りくずの噛み込み、溶着が代表的です。これらのトラブルは、工具の選定、クーラントの使用、加工条件の最適化といった対策を講じることで、大幅に軽減できます。アルミの特性を理解し、適切な対策を実践することで、加工精度を向上させ、高品質な製品を効率よく生産することが可能になります。この記事が、皆さんのアルミ加工における課題解決の一助となれば幸いです。