技術コラム TECHNICAL COLUMN
ステンレスの5軸切削加工
- ステンレス
ステンレスは耐食性・強度・耐熱性に優れ、多くの産業で不可欠な金属材料です。しかしその反面、「加工が難しい材料」としても知られ、加工硬化しやすい・発熱しやすい・工具摩耗が激しいなど、多くの課題があります。こうしたステンレス特有の加工難易度を乗り越え、高精度かつ安定した加工品質を実現する手法として注目されているのが 5軸切削加工 です。本記事では、金属・鋳物切削加工センター.comが、ステンレス加工における5軸加工の役割やメリット、設備、加工事例をわかりやすく紹介します。
ステンレス加工が難しいと言われる理由
ステンレスは一見すると扱いやすい金属に見えますが、切削加工を行うとその扱いの難しさが露わになります。代表的な課題は以下の通りです。
・加工硬化が早く、切削面がすぐに硬くなる
・熱伝導率が低く、工具先端に熱が集中しやすい
・切りくずが出にくく、溶着を起こしやすい
・高強度のため工具摩耗が激しい
・薄肉加工では歪みやビビりが発生しやすい
これらの要因から、ステンレス加工では「工具姿勢」「切削抵抗」「熱の逃し方」「段取り精度」など、あらゆる要素を慎重に考慮する必要があります。ここに5軸加工のメリットが最大限に発揮されます。
5軸加工がステンレス加工に向いている理由
ステンレスの切削において、5軸加工は単なる複雑形状加工のためだけの技術ではありません。加工品質や工具寿命の向上、熱対策など、多方面で大きな効果があります。
工具を最適角度に保持できる
ステンレスは工具に負荷がかかりやすいため、切削方向や切れ刃の角度を最適化しないと摩耗や溶着が発生しやすくなります。
5軸加工ではワークを傾けながら加工できるため、「刃が逃げる姿勢」や「側面をうまく使う姿勢」を維持でき、加工負荷を分散できます。
工具を短くでき、ビビりが激減
ステンレスは加工抵抗が大きいため、長い工具だとビビりが発生しやすく、精度や表面粗さに悪影響を及ぼします。
5軸ではワークの角度を変えて工具を短く保持できるため、加工安定性が大きく向上します。
熱の集中を避け、溶着を抑えられる
ステンレスは熱伝導率が低く、切削熱が工具先端に集中します。
5軸加工により連続切削を避け、効率的に切り込み方向を変えることで、発熱しにくい加工条件を構築できます。
多面加工がワンチャックで完結
ステンレスは段取り替えのたびに精度が狂いやすいため、できるだけワンチャックで加工を完結した方が良い材料です。
5軸なら、複数面の加工・傾斜面加工・傾いた穴加工などを一度の段取りで実施でき、精度・リードタイムともに改善します。
5軸加工の種類
5軸加工は大きく2種類に分けられます。
同時5軸加工
回転・傾斜の2軸を含むすべての軸を同時に動かしながら加工する方式です。
ステンレスの場合、以下の用途に特に有効です。
・厚みの異なる3次元形状
・複雑なフィレット形状
・複合角度の座ぐり加工
・工具負荷が大きい深い曲面加工
SUS304やSUS316のように粘りが強い材質では、工具姿勢を動的に変えられることで溶着や仕上げ面の荒れを抑制できます。
割り出し5軸加工(3+2軸)
ワークを任意角度に固定し、3軸のまま加工する方式です。
同時5軸よりもサイクルタイムに優れ、小ロットや多面加工では非常に効率的です。
ステンレスのような寸法変形が起きやすい材質の場合、段取りを減らし精度を安定させるために割り出し5軸は非常に有効です。
まとめ:ステンレスの高精度加工には5軸が最適解
ステンレスは加工が難しい材料ですが、5軸加工を活用することで、
・高精度化
・段取り削減
・工具寿命延長
・品質安定化
・複雑形状の高品位加工
など、多くのメリットを得ることができます。
金属・鋳物切削加工センター.comでは、ステンレスの加工特性を熟知した技術者と高性能5軸設備を組み合わせ、お客様の要望に応じた最適な加工を提供します。
ステンレス部品で、「精度が出ない」「変形が起きる」「加工コストを下げたい」などのお困りごとがありましたら、ぜひご相談ください。



