技術コラム TECHNICAL COLUMN
アルミ切削加工のコストを半分に?コストダウンを実現する7つの秘訣
- アルミニウム
アルミ切削加工で部品を製作する際、「思ったよりコストが高くなってしまった」という経験はありませんか?
実は、アルミ切削加工のコストは、発注前のちょっとした工夫や知識で大幅に削減できる可能性があります。場合によっては、従来のコストを半分にすることも夢ではありません。
この記事では、アルミ部品のコストダウンを実現するために、発注者側で実践できる具体的な「7つの秘訣」を徹底解説します。
秘訣1:オーバースペック?材質選定を見直す
アルミ合金にはA5052やA7075など多くの種類があり、それぞれ特性と価格が大きく異なります。例えば、高い強度を誇る「A7075(超々ジュラルミン)」は魅力的ですが、その分、材料単価が高く、加工も難しくなるため加工費も上昇します。
「その部品、本当にそこまでの強度が必要ですか?」
もし、製品に求められる要件(強度、耐食性など)を、より安価で加工しやすい材質(例えばA5052)で満たせるのであれば、材質を変更するだけで大幅なコストダウンが可能です。まずは、部品に求められるスペックを再確認し、最適な材質を選ぶことがコストダウンの第一歩です。
秘訣2:加工を考慮した設計(DFM)を取り入れる
設計段階で「加工のしやすさ」を考慮する**DFM(Design for Manufacturability)**は、コスト削減に絶大な効果を発揮します。
過剰な精度要求を避ける
「念のため厳しくしておこう」と、必要以上に厳しい寸法公差や幾何公差、粗い表面粗さを指定していませんか?公差が厳しくなればなるほど、加工時間や検査工数が増え、コストは跳ね上がります。その部品の機能として本当に必要な精度なのかを吟味し、不必要な箇所はJIS B 0405の一般公差(中級など)を活用しましょう。
加工しやすい形状を意識する
以下のような形状は加工コストを押し上げる代表例です。
- 薄すぎる肉厚や細長い形状: 加工中に変形(ビビり)が発生しやすく、慎重な加工が必要になる。
- 底Rのない角(ピン角): 通常の切削工具(エンドミル)では加工できず、放電加工など追加の工程が必要になる。
- 深すぎる穴や溝: 特殊なロング工具が必要になったり、切り屑の排出が難しくなったりする。
これらの形状を避け、できるだけシンプルで加工しやすい形状に設計を見直すことで、加工時間を短縮し、コストを抑えることができます。
秘訣3:そのアルマイト、本当に必要?表面処理を再検討する
アルマイト処理は、耐食性や耐摩耗性の向上、装飾目的で行われますが、当然ながら追加のコストと納期が発生します。
特にアルミ合金の中でも耐食性に優れるA5052などを使用する場合、屋内使用など腐食のリスクが低い環境であれば、アルマイト処理が不要なケースも少なくありません。本当にその表面処理が必要か、今一度検討してみましょう。
秘訣4:ロット数をまとめてコスト効率を最大化する
切削加工では、加工プログラムの作成や工具・治具の段取りといった「準備時間」が必要です。この準備コストは、1個作るのも100個作るのも大きくは変わりません。
そのため、1個や2個といった極小ロットでの発注は、製品単価に占める準備コストの割合が非常に高くなってしまいます。もし、将来的に同じ部品を追加で製作する予定があるなら、一度に発注するロット数(生産数量)をまとめることで、1個あたりの単価を劇的に下げることが可能です。
秘訣5:1社だけで決めない!複数の業者から相見積もりを取る
加工業者によって、得意な加工(形状、サイズ、材質)や設備の稼働状況、価格設定は異なります。1社だけの見積もりで判断してしまうと、その金額が適正価格なのかを判断できません。
必ず2〜3社以上の加工業者から相見積もりを取り、価格や納期、提案内容を比較検討しましょう。その際、ただ安いだけでなく、品質管理体制や過去の実績もしっかり確認することが重要です。
秘訣6:「VA/VE提案」をしてくれる業者を選ぶ
優れた加工業者は、ただ図面通りに加工するだけではありません。図面を見た上で、より品質を維持・向上させつつコストを削減できるような「VA/VE提案」をしてくれます。
- 「この公差は、こちらで問題なければ緩和できませんか?」
- 「この形状は、このように変更すると加工費を抑えられます」
- 「この材質なら、こちらの表面処理の方が安価で同等の効果が得られます」
このようなプロの視点からの提案は、大きなコストダウンに繋がります。見積もり依頼時に、VA/VE提案を歓迎する旨を伝えてみるのも良いでしょう。
秘訣7:図面の情報を明確にし、手戻りを防ぐ
図面内の情報が不足していたり、曖昧だったりすると、加工業者は確認のために作業を中断せざるを得ません。また、意図が誤って伝われば、不良品ができてしまい、再製作のコストと時間が発生します。
寸法、公差、材質、表面処理、注記などを誰が見ても明確に理解できるように図面に記載することで、スムーズなコミュニケーションと手戻りのない生産を実現できます。これは、結果的に不要なコストの発生を防ぐことに繋がります。
まとめ:コストダウンは発注者と加工業者の協力から
アルミ切削加工のコストダウンは、どちらか一方の努力だけでは実現しません。発注者側が加工の知識を持って少し工夫するだけで、加工業者はその能力を最大限に発揮し、結果として大きなコストメリットが生まれます。
今回ご紹介した7つの秘訣を参考に、ぜひ一度、現在の発注方法や設計を見直してみてはいかがでしょうか。



